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なぜ“きれいなだけのホームページ”は記憶に残らないか|印象に残るWebデザインの考え方

投稿:2026/01/09

きれいに整っていて、情報も分かりやすいのに、少し経つと記憶から忘れ去られてしまうサイト。
ありますよね、そのようなホームページ。

現在のWebデザインは、一定のルールに従えば、誰にでも「きれいなサイト」は作成できる時代になりました。
テンプレートやFigmaのようなUIの最適化に優れたツールによって、見やすく、使いやすいサイトは増えてきています。
しかし、それらが必ずしも「印象に残るサイト」になっているとは限りません。

この記事では、なぜ「きれいなだけのホームページ」は記憶に残らないのか、そして、「印象に残るサイト」のWebデザインに必要なものは何なのかについて、弊所 visual art の視点から整理していきます。

「きれいなホームページ」は、なぜ増えたのか

時代とともに「きれいに整ったホームページ」は確実に増えてきました。

レイアウトのバランスがよく、文字の大きさや余白も適切で、ボタンの配置も分かりやすい。
一定の品質を満たしたWebサイトが、当たり前になってきました。

それは、Web制作の環境が整ってきた結果だと言えるでしょう。
しかし一方で、きれいではあるものの、「どこかで見たことのあるサイトが多い」と感じる場面が増えているのも事実かもしれません。

Web制作の標準化とテンプレート化

現在のWeb制作の現場では、デザインや構造に関する多くの「無難な正解」が共有されています。
グリッドの考え方、UIパターン、配色ルール、フォントサイズの基準など、一定の型に沿って作成すれば、誰でも無難な正解のサイトを作成できる環境が整いました。

さらに、テンプレートやデザインツールの進化によって、長年の経験や職人的な積み重ねがなくても、ある程度完成された見た目を実現できるようになりました。
こうした流れのなかで、「きれいなホームページ」は特別なものでなく、一般的な存在になりました。

「整っている=正解」になった背景

制作の現場では、「崩れていないこと」「分かりやすいこと」「無難であること」が重視されがちです。
比較検討される場面が増えたことで、失敗しにくい表現が選ばれやすくなり、「整っていること」そのものが評価基準になってきました。

その結果、安心感はあるものの、強い印象を残さないサイトが増えていきます。
見た瞬間に違和感はないけれど、心に引っかかるものもない。

他のサイトと同じように「見やすい」「分かりやすい」「使いやすい」を求めた結果が、
いつの間にか「正解」として積み重なっていったのかもしれません。

きれい=印象に残る、ではない

「きれいに整っていること」と「印象に残ること」は、似ているようで、実は別のものです。
見やすく、分かりやすく整理されたホームページは、閲覧時のストレスが少なく、安心感を与えます。しかし、それだけで強い印象が残るかというと、必ずしもそうではありません。

多くのサイトが一定の水準で“きれい”になった今、差が生まれるのは別の部分です。
印象に残るかどうかは、整っているかではなく、どこに意識が引っかかるかに左右されます。

見た瞬間に理解できるサイトの特徴

見た瞬間に内容が理解できるサイトには、共通した特徴があります。
情報の優先順位が整理され、視線の流れも想定されていて、ユーザーは迷うことなく目的にたどり着けます。

これは、Webサイトとしてとても重要な要素です。
「何をしている会社なのか」「何ができるのか」がすぐに分かることは、安心感につながります。
ただし、その分、意外性や引っかかりは生まれにくいという側面もあります。

数日後に思い出せない理由

問題は、そのサイトを閉じた後です。
数日経って振り返ったとき、どんな印象だったかを思い出せない。
「ちゃんとしていた」という感想だけが残り、具体的なイメージが浮かばないことも少なくありません。

それは、理解しやすさが優先されるあまり、感情や感覚に触れる要素が削ぎ落とされているからかもしれません。
整っているけれど、心に引っかかる余白がない。
どこか淡白で、人間味の感じられないデザインです。
目立たないエキストラのように、背景として流れていってしまう。

結果として、他のサイトと同じ記憶の中に埋もれてしまいます。

人は“情報”より“感覚”を覚えている

人は、見た情報をすべて記憶しているわけではありません。
どんな言葉が書かれていたか、どんな説明がされていたかよりも、
「どんな印象を受けたか」「どんな雰囲気を感じたか」の方が、後になって残ることが多いものです。
多くの場合、それはビジュアルから連想された言葉や感情として記憶されています。

ホームページも同じです。
論理的に理解できたかどうかよりも、無意識のうちに受け取った感覚のほうが、記憶に影響を与えています。

記憶に残るのは、色、動き、余白

記憶に残るサイトには、色や動き、余白の使い方に特徴があったり、何かしらの癖があります。
派手である必要はありませんが、どこかに「そのサイトらしさ」が感じられる要素があるはずです。

たとえば、残るのは、

色のトーンが印象的
スクロールしたときの動きが特徴的
情報の少なさや余白の取り方が印象的など

こうした要素は、説明されなくても自然に体感されます。
意識して覚えようとしなくても、感覚として残っていくのです。

言葉にならない違和感や引っかかり

印象に残るデザインには、必ずしも分かりやすい理由があるわけではありません。
「なぜか気になる」「少し引っかかる」といった、言葉にしづらい感覚が残ることもあります。

その違和感は、決してネガティブなものとは限りません。
むしろ、すべてが整いすぎていないからこそ生まれる余白であり、イレギュラーな傾きであり、そのサイトや事業の個性がにじみ出る部分でもあります。

情報としては完全でなくても、感覚として何かが残る。
そうした引っかかりがあるからこそ、人はあとから思い出し、「あのサイト」と認識できるのかもしれません。

それは、違和感のある人間味、と言えるのかもしれません。
なぜか気になってしまう人が、記憶に残るのと同じように。

印象に残るWebデザインに必要なもの

印象に残るWebデザインに、特別な技術や奇抜な表現が必ずしも必要なわけではありません。
むしろ重要なのは、「どこまで伝えるか」「どこをあえて残すか」という判断です。

すべてを分かりやすく説明し、漏れなく伝えることは、安心感を生みます。
一方で、印象に残るかどうかは、心に響くかどうかです。
たとえば言葉で言えば、キャッチコピーのようなものかもしれません。

説明しすぎない勇気

情報を丁寧に伝えようとするほど、説明は増えていきます。
しかし、すべてを言葉で補足しようとすると、デザインが本来持っている役割が薄れてしまうこともあります。

少し分かりにくい部分があっても、すぐに答えを用意しない。
見る側が考えたり、感じ取ったりする余地を残すことは、決して不親切ではありません。
キャッチコピーのように、意味がすぐには分からなくても、心に残る表現があります。
むしろ、すべてを理解できないからこそ、記憶に残る場合もあるのかもしれません。

すべてを見せない構成

印象に残るサイトは、最初からすべてを開示していないことが多いものです。
情報を段階的に見せたり、あえて語らない部分を残したりすることで、自然と視線や意識が引き込まれていきます。

「分かりやすさ」と「出しすぎないこと」は、相反するものではありません。
構成によっては、必要な情報だけを的確に伝えつつ、余計な説明を省くこともできます。
実際、多くの場合、トップページですべての情報を書き出すことはしません。

事業や人の「癖」を残すこと

整ったデザインの中で、あえて残されている小さな癖。
それは、色の選び方かもしれませんし、言葉の言い回しかもしれません。
あるいは、動きのタイミングや、余白の取り方かもしれません。

そうした癖は、一般的な正解から少し外れているかもしれません。イレギュラーなものです。
だからこそ、無意識のうちに印象に残り、「らしさ」として記憶されます。

すべてを平均化せず、事業や人が持っている固有の輪郭や、人間味のようなものを残す。
それが、印象に残るWebデザインに必要な、大切な要素のひとつだと考えています。

visual art が「分かりやすさ」だけを優先しない理由

Webデザインにおいて、「分かりやすさ」はとても大切な要素です。
しかし、それが唯一の基準になってしまうと、どうしても表現は平均化されていきます。

visual art では、「分かりやすいかどうか」だけで判断することはしていません。
ABテストなどの比較によって分かりやすさを検証する考え方も、ひとつの有効な手段だと思っています。
それは、分かりやすさを否定しているのではなく、それだけでは足りないと考えているからです。

誰にでも向けたデザインは、誰にも刺さらない

できるだけ多くの人に伝わるように。
そう考えて調整を重ねていくと、表現は次第に角を失っていきます。

結果として、
・見やすい
・分かりやすい
・使いやすい

けれど、強く印象に残らないデザインになってしまうことも少なくありません。

「みんなに分かりやすいデザインを」というご要望をいただくこともありますが、
誰にでも違和感がない表現は、誰かの心に深く刺さることもない。
これは、これまで見てきた「きれいだけど記憶に残らないサイト」と、同じ構造だと考えています。

「合う人にだけ届けばいい」という考え方

visual art では、最初から「すべての人に向ける」ことを目的にしていません。
むしろ、「この感覚が合う人にきちんと届くかどうか」を大切にしています。
一般的にペルソナと言われる、ある特定の人に向けてデザインする感覚と似ているかもしれません。

少し分かりにくい部分があってもいい。
少し癖があってもいい。
その代わり、「これは自分たちの感覚に近い」と感じてもらえること。

結果的に、それが長く記憶に残り、信頼につながると考えています。

こうした考え方は、トップページ全体の構成や表現にも反映しています。

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