
きれいで、分かりやすく、情報もそろっている。
それでも印象に残らないホームページが多い理由は、
何かが「足りない」からではないのかもしれません。
むしろ、
伝えようとしていることが多すぎる。
説明しようとしている要素が重なりすぎている。
その結果、全体の印象がぼやけてしまっている。
そんな状態をよく目にします。
ブランディングというと、
ロゴを整えたり、色を決めたり、要素を追加していくイメージを持たれることがあります。
しかし、visual art では、
「何を足すか」以上に、「どこまで言わないか」「どこを出しすぎないか」を
丁寧に考えることのほうが重要だと感じています。
それは、情報を減らすという意味ではありません。
言葉とデザイン、動きや余白、それぞれが役割を持ち、
互いに主張しすぎない状態をつくる、という感覚に近いかもしれません。
今回は、
なぜ「足す」よりも「削る」という考え方を大切にしているのか、
そして、その感覚がどのようにサイト全体の印象につながっていくのかを整理してみます。
伝えたいことを増やすほど、印象は薄くなる
ホームページを作る過程では、
「これも伝えたい」「誤解されたくない」「補足しておきたい」
そうした気持ちが少しずつ積み重なっていきます。
事業の強み
対応できること
実績
考え方
他との違い
どれも大切な情報ですし、削るべきではないものばかりです。
ただ、それらを同じ熱量・同じ強さで並べてしまうと、
結果として、見る側には「全部同じ重さ」に見えてしまうことがあります。
どれが一番伝えたいのか
どこに一度立ち止まってほしいのか
どこは、流れるように見てもらえればいいのか
そうした強弱が整理されないまま情報が増えると、
印象は少しずつ平坦になっていきます。
これは、
情報が足りない状態とは逆の問題です。
伝えたいことが多すぎることで、何も残らなくなるという状態です。
言葉で説明しようとすればするほど、
デザインが担えるはずだった役割が、
いつの間にか言葉に置き換えられてしまうこともあります。
その結果、
文章は増え、要素も増え、
けれど全体としては、どこにも引っかかりがない。
伝えたいことを増やすこと自体が悪いわけではありません。
ただ、すべてを同時に前に出そうとすると、
印象としては薄まってしまう。
だからこそ、
「何を足すか」よりも前に、
どこを一段引かせるかを考える必要があると感じています。
言葉とデザインは、役割を分け合っている
ホームページでは、
言葉とデザインのどちらか一方だけで伝えようとすると、
どうしても無理が出てきます。
言葉ですべてを説明しようとすれば、
情報は増え、読み手は考える量が増えてしまう。
一方で、デザインだけで伝えようとすると、
意図が曖昧になり、受け取り方がばらついてしまいます。
visual artでは、
言葉とデザインは、それぞれ別の役割を担っていると考えています。
言葉は、
考え方や前提、方向性を補足するもの。
デザインは、
空気感やリズム、温度感を体感させるもの。
どちらかがメインという意味ではありません。
ここは言葉、ここはデザインなど、リズムであったり、バランスを見ることが大事です。
それを損なって、言葉ばかりになったり、デザインばかりになると、
全体のバランスは崩れてしまいます。
言葉が多すぎると、
デザインが本来担えるはずの役割を奪ってしまう。
逆に、デザインが主張しすぎると、
言葉が持つ意味や背景が届きにくくなる。
大切なのは、
言葉とデザインが互いを補い合い、
どちらもバランスよく主役になる状態をつくることだと思っています。
ここは、どちらで伝えるべきか、
お互いどこまで任せるかという、
バランスの調整です。
その結果として、
説明しすぎず、
演出しすぎず、
それでも印象として残る。
そうした状態を目指して、
言葉とデザインの関係を組み立てています。
全員に伝える前提では組み立てていません
ホームページを作るとき、
「できるだけ多くの人に伝えたい」と考えるのは自然なことです。
理解してもらいたい。
取りこぼしたくない。
問い合わせの可能性を少しでも広げたい。
そう考えるほど、
説明は増え、前提は丁寧に書かれ、言葉は慎重になっていきます。
ただ、その積み重ねが、
結果として「誰に向けたものなのか分かりにくい状態」を生んでしまうこともあります。
visual art では、
最初から「全員に伝えること」を前提に、サイトを構成しているわけではありません。
事業やサービスには、
前提となる価値観や考え方があります。
・このくらいの情報量を負担に感じないか
・抽象的な表現をどう受け取るか
・説明されすぎない状態を心地よいと感じるか
そうした感覚の違いは、相性に近いものだと思っています。
だから、
すべての人にとって「分かりやすい状態」をつくるよりも、
この感覚が合う人に、自然に読み進められる構成を優先しています。
「このくらいのバランスであれば心地よく受け取ってもらえるだろう」
という前提で、
言葉やデザイン、リズムで配置しているという感じです。
結果として、
途中で「自分は違うかも、合わないかもしれない」と感じる人もいるでしょう。
それも想定されている反応です。
この考え方は、
次に書く 「必要な人に届く形を優先しています」 という話につながっていきます。
必要な人に届く形を優先しています
visual art では、
ホームページを「できるだけ多くの人に見てもらうためのもの」としてではなく、
必要としている人に、無理なく届く形として組み立てています。
それは、強く訴えかけることでも、
分かりやすさを最大化することでもありません。
・読める人には読める
・感じ取れる人には伝わる
・違和感を覚える人は、無理に留まらなくていい
そうした流れが、無理なく起きる状態をつくることを優先しています。
そのため、
すべての要素が一様に目立つようにはしていません。
言葉が前に出る場面もあれば、
デザインや余白、動きが印象をつくる場面もある。
全体としては、そのリズムやトーンが揃っていることを大切にしています。
結果として、
強く説明しなくても、
「この感じは嫌じゃない」
「もう少し見てみよう」
と感じる人が、自然と先に進んでくれる。
それで十分だと考えています。
必要な人に届く形とは、
情報を削った結果というよりも、
本当に必要な要素が、無理なく機能している状態に近いのかもしれません。
空気感、リズム、間(ま)。
そうした要素のバランスを整えることが、
言葉にしきれない部分も含めて、サイト全体がひとつの印象として伝わります。
visual art では、
そうしたバランスをつくることが、
ブランディングにおける大切な仕事のひとつだと考えています。