事務所について

ここに至るまで

私は日本の大学で英語を学びながら、夜間はコンピューターグラフィックスを学んでいました。
当時は Photoshop や Illustrator、3D が「最新のCG」で、
まさかこの後ロンドンに行き、アートを専門的に学ぶとは思っていませんでした。
就職せずに渡英し、ロンドンの大学で Fine Art(美術)を3年間学んだことが、今につながっています。

ロンドンでのカルチャーショック

ロンドンで経験したのは、価値観が丸ごと崩れるような感覚でした。文化が変われば、見方も考え方も表現方法も変わる。日本で“当たり前”と思っていたことも、別の場所では当たり前ではない。

大学では、最初の頃はアナログ中心の制作でした。版画やインク、絵具など、手を動かしながら作品を作る時間が多く、日本で学んでいたデジタルの表現とはまったく違う世界でした。
ただこの「アナログの回り道」が、結果的に今の自分を作ったのだと思います。デジタルに戻ってきても、どこか手作業のような“質感”や“積み重ね”を大切にするようになり、一つずつ丁寧に組み立てていく作り方が自然と身につきました。感覚的なデザインの“芯”のような部分も、この時期に育ったように思います。

また、文化的な背景が異なる環境に入ったことで、「なぜこう見せるのか」を論理的に説明する必要がある文化を強く実感しました。感覚だけでは通じない場面も多く、表現の理由を言語化する力が求められる。その経験が、いまの“感覚と論理のバランスをとるデザイン”につながっています。

あのまま日本にいたら、この考え方にはたどり着けなかったと思います。ロンドンでの経験は、自分の中の価値観を大きく塗り替えた転換点でした。
背景を読み取る感覚と、それを表現へと落とし込むスキルは、ロンドン時代に芽生え、今の仕事の軸になっています。

日本の制作会社で学んだ「日本らしさ」

帰国後は横浜の制作会社へ。自由な雰囲気と個性的なメンバーが魅力でした。

ただ、ロンドンで“自由に作る”ことに慣れた私は、日本の「段取り」「精度」「細かさ」を改めて学ぶことになりました。デザインは自由だけでは成り立たない。でも、共通化しすぎても魅力は薄れる。
“感覚”と“段取り”のバランスこそ大事だと気づきました。

その後、制作会社が徐々に普通の企業のようになっていき、「ここでは自分の価値を出せない」と感じて独立しました。

独立と気づき ─ SEO時代からブランディングへ

独立当初は、最低限のSEOで検索順位が上がる時代でした。順位では勝てても、仕事が多いわけではありませんでした。理由は簡単で、“中身(ブランドの核)が整っていなかった” からです。
そこからブランディングを独学し、軸のあるサイトこそ長く生き残ると確信するようになりました。

Flashアニメーションや視覚的な表現が得意だった背景もあり、「言葉を読まなくても“意味合い”が伝わるデザイン」を自分の強みとして再定義。案件に応じて、ロゴ・紙媒体・システム構築も視野に入れ、必要なときだけプロと連携できる体制を整えました。土台は常にホームページ制作に置きつつ、ブランドの核から整理して世界観を設計する手順へと移行していきました。

“合う人”と長く続く関係を

私のデザインは、感覚的な部分が大きいので、すべてのお客様に合うわけではありません。方向性が合わない場合は、無理に対応せず、必要に応じてデザイナーを変えたり、お断りすることもあります。

逆に、方向性が合えば、長くお付き合いが続きます。実際に20年近く続くお客様もいます。

量産や均質化ではなく、「人と人が合うか」を大切にし、その関係のなかでしか出せないオンリーワンの価値を提供する――それが visual art の仕事の根っこにあります。

将来の予感

最近、家具職人が教えてくれる木工教室に通い始め、再びアナログの世界に触れています。
手で素材と向き合う感覚は、ロンドンでの制作を思い出させてくれるもので、デジタルとは違う“時間の流れ”があります。

この先、自分の制作がどんな方向へ向かうのかはまだ分かりませんが、
アナログとデジタルを行き来するこの感覚は、きっと visual art の表現にも穏やかに影響していくのだろうと感じています。

visual art について

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